デジタルツインを見据えたセンサ位置推定

センサの位置推定は近年注目されているデジタルツインに必要不可欠な技術です.

例えば,デジタル空間上でのシミュレーションを製造業の自動化や不具合予測に役立てています.

デジタル空間でのシミュレーション結果を実世界に役立てるためには端末等の正確な位置情報の取得が必要です.

しかし,屋内ではGPSの利用が困難です.

そこで,全く位置情報を持たないセンサによりその位置を推定する新しい技術を開発しています.

例えば,アクセスポイントとセンサが通信をして,近接関係を判定することで,全体のセンサの位置を推定します.

これによってセンサだけでなく家電など身の回りにある様々な機器を用いて高精度な位置推定を実現することができます.

 

 

無線トモグラフィの工場内遮蔽物推定

近年,スマート工場が登場しており,工場内のネットワーク通信によって,生産ラインの自動化や,無人搬送車などの運用がされています.

そういった背景もあり,工場内においても無線通信技術が重要となっています.

しかし,工場内での無線ネットワークでは,産業機械などの金属物体によって激しく反射したり,遮られるなどの問題があります.

この問題を解決するために,無線トモグラフィに関する研究を行っています.

無線トモグラフィはWiFiなどの電波を照射して,領域内部の状態を推定する技術です.

電波は壁を貫通するため,外部から推定が可能なうえ,通信品質の状態も推定が可能です.

私たちは,この無線トモグラフィを利用した工場内の構造物や通信品質を推定するという研究を行っています.

この研究によって,工場内の最適なネットワーク設計や,無人搬送車の移動経路の制御を行うことができ,

より高度なスマートファクトリーを実現することができます.

ドローンリレーネットワーク

ドローンネットワークとはドローンに無線中継装置を搭載し,さまざまネットワークに用いることです.

例えば,ドローンを携帯電話網の基地局として用いるドローン基地局です.

混雑時や災害時などで通信が困難な場所にドローンを配置して,基地局の代わりにします.

また,ドローンリレーネットワークというのは,災害時などで基地局が使用不能になった時に,

ドローンを複数台用いて,バケツリレーのように使用可能な基地局まで伝送する技術です.

私たちの研究室では,このようなネットワークに対して,どこにドローンを配置するか,

どの方向にドローンを向けるかなどの制御方法を研究しています.

 

 

 

無線電力伝送スケジューリング

無線電力伝送は無線信号で,端末に給電できる技術です.

スマートファクトリーやドローンネットワークで使われる,無人搬送車やドローンには,バッテリーに制限があるという課題があります.

これらの端末への給電にも応用できる技術にもなります.

しかし,無線信号で給電をする時は.人体や他の電子機器に影響を与えないようにしなくてはなりません.

そこで,アンテナ信号処理によりビームを形成する技術を使っています.

これによって,特定の方向にビームを絞ることができます.

私たちの研究では,複数の端末に公平に給電がなされるためのスケジューリングについて研究しています.